住民基本台帳法に基づき、市区町村が作成。氏名、住所、生年月日などを記載している。選挙人名簿の登録や国民健康保険など、行政サービスの基礎資料となる。各種の手続きで提出を求められる住民票の写しは個人単位と世帯でまとめた様式がある。引っ越しする場合は、転出や転入の届け出を市区町村にしなければならない。転居歴が記された除票は、政令で保存期間が5年と定められ、その後の保存は自治体の判断に委ねられている。
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市区町村長が,住民基本台帳法(1967公布)に基づいて,住民の利便と国および地方公共団体の行政の合理化を目的として作成する住民に関する公文書。同法は日本国籍を有する者についてのみ適用され(住民基本台帳法39条),したがって外国人は〈住民〉ではなく,外国人登録法によって〈在留〉を登録する(「外国人登録法」は2012年に廃止)。住民票は原則として個人を単位として記載され,それを世帯ごとに編成して,住民基本台帳が作成される。住民票には大別して,住民の居住関係およびその他の事項が記載される。前者は,(1)氏名,(2)生年月日,(3)男女の別,(4)世帯主・世帯員の別および世帯主との続柄,(5)戸籍の表示,(6)住民となった年月日,(7)住所,などである。また後者は,(1)選挙人名簿の登録(選挙権は住民票所在地で行使される),(2)国民健康保険・国民年金の被保険者の資格,(3)児童手当の受給資格,(4)米穀類の消費者の資格,である(7条)。
ところで本籍以外の一定の場所で,90日以上住所または居所をもつことは,かつては〈寄留〉と呼ばれてきた。1914年の寄留法を廃止して51年に制定された住民登録法の施行下では,国民健康保険,国民年金,食糧配給に関する届出など住民の届出に関する制度は,各種の行政ごとに個々に定められていた。ところが,67年に,〈住民の居住関係の公証,選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図るため,住民に関する記録を正確かつ統一的に行なう住民基本台帳の制度〉(1条)を定めた住民基本台帳法が公布されたことにより,住民登録法は廃止され,住民登録は新法による届出に切り替えられた。
住民票の記載は届出または職権によって行われ,住民は,住所等を変更したときは,14日以内に市区町村長に届出をしなければならない(21条以下)。市区町村長は記載事項に関する調査権を有し,虚偽の届出をした者,届出を怠った者は5万円以下の過料に処せられる(44条)。住民基本台帳の閲覧,住民票の写しの交付請求は,だれにでも許されているが,執務の支障その他正当の事由により拒絶されることもありうる。なお戸籍と住民票の連絡を保つために,市区町村長は,その区域内に本籍を有する者につきその戸籍を単位として,〈戸籍の付票〉を作成しなければならない(16条)。戸籍の付票も住民票同様だれでも請求できるため,ある人の住所がわかれば,その自治体の窓口で住民票を請求して本籍を知り,次にその本籍地で戸籍の付票を見て以前の住所を探索することが可能となる。このような方法で,たとえば被差別部落出身者や収監歴のある人たちへの差別が行われていることの問題性が指摘され,住民票や戸籍の付票の公開を疑問とする声もある。また,日本では先述のように,外国人が住民として扱われず,公立学校への就学など各種行政サービスが制限ないし排除されていることに対する批判の声も,広がりつつある。
なお、2002年8月から〈住民基本台帳ネットワークシステム〉の運用が開始されたが,一部自治体は個人情報保護などの理由から参加していない。
執筆者:星野 澄子+唄 孝一
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住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)に基づき、市町村長、特別区の区長が、その住民につき個人を単位として作成した書類。1967年(昭和42)に、従前の住民登録法に基づく住民票の制度にかわって設けられた。この制度は日本国籍を有する者についてのみ適用され、住民票には氏名、生年月日、男女別、世帯主か否か、世帯主との続柄、戸籍の表示、住所、住民となった年月日、国民健康保険、介護保険、国民年金、米穀の配給、選挙人名簿、児童手当などに関する事項が記載される。これを世帯ごとに編成したものが住民基本台帳である。住民票は何人(なんぴと)でも閲覧することができるのが原則であるが、他人の住民票を閲覧してプライバシーを侵害する事例があり、その閲覧請求が不当な目的によることが明らかなときには、それを拒否することができる等の法改正がなされた(1986年6月1日施行)。
1990年代には、行政情報の電子化が急速に進み、住民票、住民基本台帳も、住民の利便を図り、国や自治体行政の合理化に資することが望まれるようになった。1999年(平成11)8月、法改正が行われ、記載事項として11桁(けた)からなる住民票コードを追加すること、住民の申請により住民基本台帳カードを交付すること、個人情報保護のための措置を講ずること、が盛り込まれた。その後、2002年8月から住民基本台帳ネットワークシステムが稼動した。このシステムによって、本人確認のための氏名、性別、生年月日、住所の四つの情報について全国共通のコンピュータ管理が行われている。
[阿部泰隆]
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(浦野広明 立正大学教授・税理士 / 2007年)
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…戸籍簿および住民票の記載に際して用いられる,一定の者との関係を示す用語。日本の戸籍制度は,欧米の個人別身分証書制度(身分登録制度)と比べて,一定の人間を中心として,その人からの続柄をもって他の人をとらえられるという特徴をもっている。…
※「住民票」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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